FXで稼ぎたい人にとって、気になるのが税金ですよね。FXで得た利益には、所得税と住民税がかかります。具体的にいくらかかるのか、計算方法や確定申告の流れをわかりやすく解説します。
FXで得た利益は「先物取引に係る雑所得等」として扱われる
FXで得た利益は、他の所得と区別して「先物取引に係る雑所得等」として扱われます。これは、FX取引が「金融商品取引法」に基づく取引であり、他の所得とは性質が異なるためです。
「先物取引に係る雑所得等」の税率は、所得税と住民税の合計で20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)です。
FXで得た利益は、申告分離課税の対象となります。申告分離課税とは、FXの利益と他の所得を分けて課税する制度です。申告分離課税を選択することで、FXの利益が他の所得と相殺されずに、一律の税率で課税されます。
FXの取引で利益を得た場合は、確定申告が必要となります。確定申告には、FXの取引記録や損益計算書などの書類を添付する必要があります。
FXの利益にかかる税率は20.315%
FXで得た利益には、所得税と住民税が課税されます。2023年12月現在、その税率は20.315%です。
この税率は、所得税が15%、住民税が5%、復興特別所得税が0.315%で構成されています。復興特別所得税は2037年まで課税されます。
FXの利益は、申告分離課税の対象となります。申告分離課税とは、FXの利益を他の所得と分離して課税する制度です。これにより、FXの利益が他の所得を押し上げてしまうことを防ぐことができます。
FXで利益を上げた場合、確定申告が必要です。確定申告は、原則として、翌年の2月16日から3月15日までに行う必要があります。
FXの利益の計算方法
FXの利益は、以下の計算式で求めることができます。
利益 = (決済レート – 建玉レート) × 取引数量
例えば、1ロット(1,000通貨)を取引した場合、100.00円で注文をして100.01円で決済をすると、
利益 = (100.01円 – 100.00円) × 1,000 = 10円
つまり、10円の利益となります。
また、FXの利益には、為替差益だけでなく、スワップポイントも含まれます。スワップポイントとは、異なる通貨ペアを保有することで発生する金利差のことです。スワップポイントは、買いポジションと売りポジションによって、発生する方向が異なります。
買いポジションでは、スワップポイントが受取りとなります。つまり、利益に加算されることになります。一方、売りポジションでは、スワップポイントが支払いとなります。つまり、利益から差し引かれることになります。
FXの損益通算と繰越控除
FX取引で利益が出た場合、他の所得と損益通算をすることはできません。ただし、他の先物取引やオプション取引などとの損益通算は可能です。また、損失が発生した場合は、一定の要件を満たすことで、翌年以降3年間にわたって損失を繰り越すことができます。
損益通算
FX取引の損益は、他の「先物取引に係る雑所得等」とのみ損益通算することができます。具体的には、FX取引で発生した損失は、先物取引やオプション取引などの他の「先物取引に係る雑所得等」と損益通算することができます。他の所得(給与所得、事業所得、不動産所得、退職所得など)との損益通算はできません。
損益通算を行うことで、損失が発生した年の所得税額を減らすことができます。ただし、損益通算を行うには、損失が発生した年の確定申告を行う必要があります。
繰越控除
FX取引の損失は、一定の要件を満たすことで、翌年以降3年間にわたって損失を繰り越すことができます。具体的には、以下のような要件を満たす必要があります。
- 損失が発生した年の確定申告を行うこと
- 損失を繰り越す期間中は、毎年確定申告を行うこと
- 損失を繰り越す期間中は、FX取引の有無にかかわらず、確定申告書にFX取引の損益を記載すること
繰越控除を行うことで、損失が発生した年の所得税額を減らすことができます。また、損失が発生した年の翌年以降3年間にわたって、損失を繰り越すことで、損益通算の機会を最大限に活用することができます。
確定申告のタイミングとルール
FX取引で得た利益は、ポジションを決済して利益が確定した時点で税金の対象となります。ただし、利益がFX業者の口座に残っている状態でも、その利益は確定利益として扱われます。確定申告では、年間を通じて得た利益を総合して申告する必要があります。
確定利益と損失の取り扱い
- 確定利益
ポジションを決済した時点で発生する利益。決済時点での利益は、FX業者の口座に残っているかどうかに関わらず、確定利益として申告対象になります。 - 損失
年間を通じての損失も同様に計上され、総合的に利益と損失を相殺する形で申告します。
例えば、次のようなケースです。
この場合、年間の利益は以下のように計算されます
この10万円が確定利益となり、確定申告の対象となります。
確定申告の要件
- 給与所得者の場合
年間の確定利益が20万円以上の場合に確定申告が必要です。 - 給与所得がない場合
年間の確定利益が38万円以上の場合に確定申告が必要です。
実際の申告と損益通算
年間を通じて、利益と損失をすべて合算して最終的な利益額を計算します。その上で、確定申告の要件を満たす場合には、確定申告を行います。また、繰越損失などの制度を利用して、過去の損失と相殺することも可能です。
ポジションを決済して利益が確定した時点で、その利益は確定利益として扱われます。FX業者の口座にお金が残っている状態でも、その年の確定利益として申告対象となります。年間を通じて利益と損失を総合的に計算し、最終的な確定利益が一定額を超える場合に、確定申告が必要となります。
FXの確定申告の流れ
FXで利益や損失を出した場合は、確定申告を行う必要があります。確定申告は、毎年2月16日~3月15日までの期間に行うのが一般的です。
FXの確定申告の流れは、以下のとおりです。
必要書類の準備
確定申告を行うには、以下の書類が必要です。
- 確定申告書第一表、第二表(第三表は先物取引に該当する場合のみ必要)
- 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
- FX業者から発行される「年間取引報告書」
必要書類は、国税庁のホームページからダウンロードできます。また、FX業者から送付される場合もあります。
確定申告書の作成
必要書類を準備したら、確定申告書を作成します。確定申告書は、国税庁のホームページからダウンロードできます。FXの確定申告では、確定申告書第三表(分離課税用)を使用します。確定申告書第三表には、FXの利益や損失を記載します。
申告書の提出
確定申告書が完成したら、税務署に提出します。提出方法は、以下の2つがあります。
- 郵送
- e-Tax
郵送の場合は、郵便局の窓口から提出するか、郵送で提出することができます。e-Taxの場合は、マイナンバーカードとICカードリーダーが必要です。
納税
確定申告の結果、税金の納付が必要になった場合は、納税をします。納税方法は、以下の2つがあります。
- 口座振替
- コンビニエンスストアや金融機関での納付
口座振替の場合は、納税額が口座振替依頼書に基づいて自動的に振替されます。コンビニエンスストアや金融機関での納付の場合は、納付書に記載されたバーコードを読み取ることで、納付することができます。
まとめ
FXで利益を上げたら、忘れずに税金を申告しましょう。申告方法は簡単なので、必ず確認してください。